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看護師のコミュニケーションスキルを向上させる方法【思考を誘導する技術】

「看護師はコミュニケーションが重要、コミュニケーションスキルを磨け」とはよく言ったもの。学生の頃から散々コミュニケーションについて学び実践してきたはずです。しかし、看護師の中には患者さん他職種、先輩とのコミュニケーションが苦手だという方も多いです。

ところが、看護師という職業で円滑な仕事をするためには、コミュニケーションスキルの向上は必須です。本当に必須です。大事なので2回言わせてもらいました。

もし、コミュニケーションで悩む時間を減らすことができたら、仕事を効率的に行えるようになります。さらにコミュニケーションが得意になれば、他の人と友好的な関係が築けて仕事が楽になります。

つまり、コミュニケーション技術を上げることって利点しかありません。そこで今回は

✔こんな悩みを解決

・コミュニケーションが苦手

・患者さんや一緒に働く人たちと円滑なコミュニケーションがとりたい

✔記事の信頼性

・現役の精神科看護師

・スーパー救急病棟勤務

・教育委員会所属、保健師、第一種衛生管理者

よく「ほうれんそうが大事~、誠実に対応~」とかいわれると思いますが、そんなことどうでもいいです。重要なのは、人間がどんな思考をしやすいのかを理解すること。コミュニケーションは思考と技術です。

今回の記事では今後の人生に一生活用できる技術を公開しています。

KAIがはたいている精神科について興味がある方は、精神科看護師の役割とは?きついの?やりがいは?【すべて解説します】をご覧ください。

コミュニケーションスキルを向上させる方法

今回は「影響力の武器」という本の内容を使って、コミュニケーションスキルを向上させる方法を解説していきます。

この本は「なぜ人は動かされるのか」という点に注目した本です。著者のロバート・B・チャルディーニは米国の社会心理学者でアリゾナ州立大学の教授でもあります。とても権威のある方で、「影響力の武器」は米国でベストセラーになっています。

この本の内容は実はマーケティングの分野で非常に活用されていて、あのメンタリストのDaigoさんも絶対に読むべき本であるとお勧めしています。とはいっても、非常に分厚い本ですし、普段から本を読む人でないと読み切るのが難しいくらい濃厚な内容になっています。

そこで、今回は現役精神科看護師のKAIが、実際に看護場面で活用できる技術として解説していきたいと思います。

人間は手っ取り早い反応をしてしまう

影響力の武器の内容を簡潔に要約すると、「複雑化した現代社会では人間はエネルギーを節約するために自動的な反応、つまり深く考えずに行動してしまうことがある。この自動的な思考をうまく利用して、思考を誘導する人たちがいて、誘導する方法が大まかに6つある」ということが書いてあります。

例えば、新しいシャンプーが欲しい時ってまずレビューを確認していくと思います。しかしシャンプー1つだけでもかなりの種類がありますよね。いちいち1つ1つ確認するのは億劫です。そこでランキングの上位にあってレビュー数が多く、満足度の星が高いものを選びがちです。その方が菅家るのが楽だし、安心するからです。

また、好きな芸能人が使用しているとそれだけで好ましく感じてしまいます。本来は自分で使用してみて決めるべきなのに、あまりにも多い選択肢の中で「ランキングが高い方良い、芸能人が使っている方良い」と思考、時間、エネルギーを節約しているのです。

この思考を企業やマーケーターは把握しており、多数の人間を誘導するわけです。

このように、私たちは日々思考を誘導されているわけですが、この技術を今回は我々が活用していきましょう。

好意は最大の武器

身もふたもない話ですが、結局のところ、人は自分が好意を感じている人に対してイエスという傾向があります。

たとえ、看護師と患者関係だとしても、患者は好きな看護師の話は聞くし言う事を聞きます。嫌いな人には反発します。これはどのような関係性にも当てはまることであり、当然ですよね。

ではどのようにしたら好意が生まれるのでしょうか。

大きく分けて3つあります。

結局のところ身体的魅力

悲しい話ですが見た目はめちゃくちゃ重要です。というのも世の中にはハロー効果といわれるものがあるからです。ハロー効果とは「表面的な特徴に引きずられ、全体の評価をしていまう」こと。

例えば、イケメンや美女を見ると、親切そうだったり、正確が良さそうだったり何か別の才能にもあふれているような気がしませんか?実際にはそうでなくても、身体的に優れた魅力がある時点で好意的な印象を与えることができるのです。これは研究で明らかになっていることです。

ただし何も顔だけではありません。KAIもイケメンではないです。それでも言葉遣いだったり、所作だったり、髪が丁寧にセットされているなど「清潔感」があるだけで、好意的な印象を与えることができます。

よってわがままな男性患者には美人、神経質な女性患者にはイケメンを配置すると、言う事を聞いてくれるので病棟の雰囲気が良くなるでしょう。

病棟に1人でもイケメンがいるだけで、老害となったお局のヤル気もアップします。お局もイケメンには弱いわけですね。

似ている人を好きになる

実は、私たちは似ている人のことを好きになることが分かっています。例えば、同じ芸能人が好きなら会話が盛り上がるし、映画の好みが同じなら好意的になります。そして、似た人からの要求に対してはあまり深く考えずに、イエスといってしまう傾向が強いこともわかっています。

つまり、患者や同僚に対しては「相手の好きなものを理解して、ある程度理解し話を合わせておく。お世辞でもいいので好意を伝える」と要求が通しやすくなることが分かります。

それって表面的すぎて嘘くさくないか?という反論があるのは良く分かります。でも、自分の立場で考えてみてください。たとえお世辞たとしても、美人ですね、とかイケメンですね、とか褒められたりするとすごく嬉しくないですか?

お世辞を言わないのか、お世辞とわかっていても言うのか、明らかに後者の方がいいです。

繰り返し会うことで協力関係を作る

単純接触効果でも有名ですが、人間は対象に対して接触を繰り返し、馴染みをもつようになると、たいていは好意が増えていきます。ただし、これは不快な状況ではなく、快適な環境のなかで接触する場合に当てはまります。朝笑顔で挨拶することがいかに重要かが分かりますね。

実はこの好意をもっと強くする方法があります。それは「相互の協力によって成功がもたらされる場合」です。

例えば、一方的な指示では患者さんはなかなか動いてくれません。看護師側から一緒に問題を解決したい、と伝えることが重要です。同僚に対しても、この時間に終わらせるために協力しませんか?と自分から申し出てそれを達成することで好意が生まれます。

KAIは患者に対しても、家族に対しても、同僚に対しても、お互いの協力が必要不可欠であることを強調します、そして何かを達成した場合には、めちゃくちゃに賞賛します。そうすることで相手の自己肯定感を高めつつ、好意を高めることができます。

まとめると、外見を磨き、相手を知る努力を欠かさず、頻回に接触し、一緒に問題解決をできるように持っていくことが好意を与えることになりますね。

返報性を意識する

返報性とは「他者から与えられたら自分も同じようなやり方で相手に返すように努めることを要求する」こと。

つまり、何かをされたら何かを返そうとする義務感を感じることです。これは社会全体で最も基本的な要素となっているルールの一つであり、だれもが体に染みついている習慣ですよね。

例えば、お中元をもらったら、お返しをしますし、誰かにおごってもらったら、おごり返したいですよね。親切に親切で返すというのは誰でも行った経験があるはずです。

ただし、この返報性には怖いところがあります。それは「見知らぬ人や嫌い人でも親切な行為をされると、返さなくてはいけない」と感じてしまうところです。この点をうまく活用する必要があります。

最初に与えて、お返しを求める

返報性を利用した手口として、まずは与える、という方法があります。人間は返報性のルールに支配されているので、誰かに恩義を受けっぱなしでいると不快な感情になってしまうのです。

例えば、友達に誕生日を祝って持った場合、相手の誕生日を祝い返さないといけない、と考えてしまうはず。他にも、誰かに飲み代をおごってもらったときにはうれしさ反面、申し訳なさも出てきませんか?

これらをうまく活用しましょう。

つまり、患者に対してびっくりするような手厚い看護をしましょう。そこまでやるの?と思わせるくらいの対応です

患者の訴える要求にこたえつつ、潜在的に問題になるであろうことに対して対応します。これで相手に貸しを作れます。

具体的には、細かい観察+ベッド周りの環境整備+シーツやベッドの汚れの対応+時間をかけた傾聴です。これらは時間がかかるものですが、その分患者に対して良い印象を与え、結果的にこちらの要求を通しやすくすることができます。

同僚に対しては自分に余裕が出来たら積極的に手伝いましょう、仕事が早く終わる、信頼される、自分が忙しい時に助けてもらえる、など良いことしかありません。

最初に譲歩して、その見返りを要求する

返報性を応用したテクニックです。

譲歩的養成法(ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック)とも呼ばれ、相手の譲歩に返報しなければならないという圧力を使って承諾を引き出す方法です。

つまり、元々通したい要求よりも難しい要求を伝え、一旦断らせてから本当の要求を伝えます、すると要求の引き下げが譲歩に見えるため、要求が通る可能性が上がる、というわけです。

KAIは主に同僚や家族に使いますね。

書記が嫌いなので相手に書記をやらせたいとき

委員会の議事録を作るときに、相手に対してまずは司会をやってくれませんか?と提案します、司会をやりたがる看護師ってめちゃくちゃ少ないので断られます。その後にじゃあ司会はKAIがやるから書記やってくれない?と提案します。大体これで書記を引き受けてくれます…。

これ以外にも使い方はあるのですが、あくどいやつだと思われるので割愛。こういう使い方がいいよ、という事例があったら是非教えていただきたいです。

権威はやっぱり重要

我々人間は権威に弱いという事は誰もが分かるはずです。看護師なら、熟練の医師に指示をされると萎縮してしまいます。これが医師と患者の関係性になると、パターナリズムが生まれますよね。

これは医療だけでなく、どの分野でも一緒。一般のサラリーマンがビジネスについて語るよりも、ホリエモンが語る方が絶対的な信頼があります。普通の主婦が化粧品について語るよりも、佐々木希さんが化粧品を語る方が信頼があります。

これは通常、専門家や権威者が優れた知識や技術を持っているので、適応的な面でも仕方がない部分でもあります。われわれ看護師も一般的には専門職。ですからこの「権威」を活用しない手はありません。

効果のある権威は3つあります。

  • 肩書
  • 服装
  • 自動車

研究によると、上記3つが権威として最も効果があり、多くの相手に言う事を聞かせることができます。看護師なら「肩書」と「服装」ですね。

看護師以外の肩書を増やす

「看護師」という肩書きは病棟ではだれもが所有しているものです。特筆すべきものではないのであまり強く効果があるとは言えません。

これが例えば、「主任」「副主任」になるとどうでしょうか。管理者という肩書きがつくので何となく優秀なんだろうな…と感じさせることができます。能力は分かりませんが。

KAIのおすすめは複数の資格を所有すること。幸い看護師はちょっと勉強すると保健師が取得できます。さらに、保健師を所有していると第一種衛生管理者も取得することができます。

シングルライセンス<トリプルライセンスなのは言うまでもありませんよね?

重要なのは「何となく凄そうだな」と思わせることです。CVPPPトレーナーでもACLSトレーナーでもなんでもOK。名札にがっつり記載しましょう!

だぼだぼの白衣やスクラブはNG

医師の白衣には権威がありますが、よれよれでは意味がありません。同様に看護師の白衣もぴしっと着こなしましょう。服装は権威になるので、清潔できれいな白衣やスクラブを着るのが一番でしょう。おすすめのスクラブにつていは世界が変わる!本当におすすめなスクラブ3選【現役看護師がレビュー】を確認してください。

KAIは最近は真っ黒なスクラブを着るようにしてます。ちょっと強そうじゃないですか?(笑)

分からないことは患者と家族に悟られない

新人の頃からKAIが一番意識しているところですね。精神科の患者さんや家族によっては、年下に見えるから、と大柄な態度で接してくる人がいます。新人なんか恰好の餌食です。

ですから新人だとしても、落ち着いた声色で経験豊富さを装いましょう。そして分からないことはすぐに調べて、知識を増やしていきましょう。

相手の質問に対して、誠実に素早くこたえることが必要です。新人の頃は分からないことを聞かれても、「その点に関しては知識があいまいなので、しっかり確認してからお答えしますね」といって乗り切っていました。

新人だから、と言い訳をする奴は本当に伸びないよなーと思う今日この頃です。

一貫性とコミットメント

コミットメントとは「自分の立場を明確にすること」。

そして、人間は、自分の言葉、信念、考え方、行為を一貫したものにしたいという欲求があります。つまり、相手の言葉で立場を明確にさせることで、一貫性を保たせるために思考と行動を誘導することができるようになります。

例えば、こんな研究があります。

地方の高校で行うエイズ教育のボランティアを募集した研究です。

研究者は、半分のボランティアには「参加を希望する」という用紙に記入させました。残りの半分には「参加を希望しない」という用紙に記入をしない、という方法を取らせました。

その後、正式にボランティアへの参加を頼んだ時には、積極的に参加を希望した人の大半(74%)が実際にやってきました。それだけでなく、積極的にボランティアに参加した人は、参加した理由を自分自身の個人的価値観や好みや性格と関連付けて説明する傾向がありました。

つまり、自分で立場を明確にすることが、実際に自己イメージを高め、高めた自己イメージが行動を決めるという事が分かります。

一貫性を保つことは一般的には、社会から高い評価を受け、日常生活を有益にします。仕事場でも、一貫した意見を持ち自分の信念に従って行動する人が尊敬されます。

この点をうまく活用していきましょう。

自分で考えて決めたと思わせる

結論から言うと、相手に自分で立場を決めた、と思わせることができればいいわけです。そのためには、Iメッセージを使う必要があります。

これは、「私はこの問題に対してこう思うけど、あなたはどう思うの?」という質問の形です。

医療業界はパターナリズムに支配され、上から目線が多いのでどうしても強制せざるを得ません。

そこで、「~してください。」ではなく「~をしたほうがいいと思いませんか?」と聞きましょう。その際自分の意見と理由を明確に伝えましょう。

例えば、精神科の看護場面では薬を拒否する人が多いです。

患者;薬はできれば飲みたくない。副作用も嫌だし。なるべく自分で治したい

KAI;そうですか。薬を飲むことで日常生活が送れるようになるのですが…。

患者;家族には迷惑かけたかもしれないけど、なるべく飲みたくないんだよ。

KAI;高血圧や糖尿病と一緒で飲まないと症状が出てしまうんですよ?退院した後にやりたいことって沢山ありますよね?私は薬は飲んだ方がいいような気がしますけどね…

患者;…。

解決していなんですけど、このかかわり方が重要です。というのも相手に強制はしていないですよね。薬は絶対飲まないといけないですよ!と上から目線でいうのではなく、飲まないことによるデメリットを一緒に考えるんです。ついでに周りも巻き込みます。

クスリを飲む理由は人それぞれなので、自分は飲まなくてもいいと思うけど家族のためにも飲む、という人も沢山いたりします。患者さんが薬を飲む、と自分で決められるような理由を一緒に探す姿勢が重要になるのです。

理想論のように見えますが、これ結構使えます。精神科の場面でしたが、身体科でも使いやすいテクニックではないでしょうか。

まとめ

いかがだったでしょうか。影響力の武器は全部で6つありますが、今回は4つ紹介させていただきました。心理学を身に着けることで、相手の思考を誘導することができます。

  • 好意を持ってもらう。
  • 返報性をうまく活用する。最初に譲歩するか、最初に与える
  • 権威を身に着ける、肩書は重要
  • コミットメントと一貫性を意識して、相手に決めてもらう

コミュニケーションの向上は看護師には必須です。そしてコミュニケーションとは、相手との相互作用であり、心理学の適用できる場面でもあります。

うまく相手を誘導して自分のやりやすい環境を作っていきましょう!

KAIが今回紹介のはあくまでもほんの一部。さらに使えるテクニックが沢山紹介されていますので、ぜひ書籍を購入してみてください。

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